皆さんは寄付をしたことがあるだろか。異常気象で食べる物が不足して困っている人や、地震で家を失った人のためにわずかながらもお小遣いから寄付した経験を持つ人は多いだろう。その寄付に対する考え方に、今、新しい働きが起こっている。

 ある会社では、社員食堂で低カロリーの定食を食べると代金の一部が寄付金となって途上国()の子供たちの食生活を支援する、というシステムを取り入れている。社員としては体調管理につながるだけでなく、人を助けることができ、会社としては社員の健康を支えながら社会貢献ができるので、社員にとっても会社にとっても一石二鳥というわけだ。

 また、「寄付つき」の商品を販売する企業も増えている。特定の商品を買うと売り上げの一部が寄付されるというもので、他の商品と比べるとやや値段は高いが、商品を買えば、同時に寄付できるという手軽さが消費者に歓迎され、売り上げを伸ばしているという。

 これまでの寄付はわざわざ募金の場所へ足を運んだり、銀行からお金を振り込んだりしなければならないものが多く、社会貢献に関心はあっても寄付をするのは面倒だと実際の行動には移さない人も少なくなかった。そこに目をつけたのが新しい寄付の形で、これまでと比べ手軽に寄付できるようになり、社会貢献がしやすくなった。さらに、企業にとっても自社のイメージの向上や売り上げの増加などメリットの多い取り組みとなっている。

 このように寄付は慈善のためというばかりでなく、寄付をする側にもプラスになる活動としてとらえ値され始めている。

 

(注)途上国(とじょうこく):経済成長の途中にある国

 

7 社員食堂で低カロリーの定食を食べることがどんな良い結果についながるのか。

1 社員の健康が守られ、社会の役に立つことにもなる。

2 社員に定食代の一部が返金され、寄付をするす余裕ができる。

3 会社で寄付が日常のことになり、食生活に対する意識も高まる。

4 会社は社会の役に立つことができ、食堂の経費の節約にもなる。

 

8 この文章は、これまでの寄付にはどのような問題があったと述べているか。

1 寄付をする方法があまり知られていない。

2 寄付をすることが社会的に評価されにくい。

3 寄付をするのに手間がかかるシステムである。

4 寄付をするためには経済的に余裕がなければならない。

 

9 この文章における新しい寄付とはどういうものか。

1 企業が社員や消費者の意思にかかわりなく積極的に行うもの

2 企業が慈善事業のためではなく利益を上げるために行うもの

3 社員や消費者が手軽に寄付ができて企業側にも利点があるもの

4 社員や消費者が気がつかないうちに社会貢献に参加できるもの